2007年11月26日月曜日

Jay-Z/American Gangster



01. INTRO
02. PRAY
03. AMERICAN DREAMIN'
04. HELLO BROOKLYN 2.0 - FT. LIL WAYNE
05. NO HOOK
06. ROC BOYS (AND THE WINNER IS)
07. SWEET
08. I KNOW
09. PARTY LIFE
10. IGNORANT SHIT - FT. BEANIE SIGEL
11. SAY HELLO
12. SUCCESS - FT. NAS
13. FALLIN'
14. BLUE MAGIC
15. AMERICAN GANGSTER


この男、やはり格が違います。
世界で一番成功してるラッパー、Jay Zの記念すべき10作目となる本作は、11月2日に全米で公開されたリドリー・スコット監督の映画『American Gangster』からインスパイアされて制作したそうな。映画のシーンと自身の経験してきたハスリンライフが完全にひとつになったコンセプチュアルな一枚。前作とは対照的に、アルバムとしてのさらっと一枚聴けちゃうし、アルバムとしての完成度が非常に高いのは分かるんですが、一曲一曲pick upしてみてもホントやばい。
映画の予告編みたいなintro①でハスラーの世界に完全に引き込みつつ、「祈り」と題された②へ。常に苦悩がつきまとうHustle Life、毎夜の神への祈りが道を切り開くガイダンスをもたらす。今回結構な曲数採用されてるDIDDY and LV&Sean Cの壮大でドラマチックなオケが映画っぽさに拍車をかけます。シングルポジションな2曲目でこんなに贅沢なBeyonceの使い方をしちゃうあたりも彼ならでは。③ソウルフルなファルセットヴォイスとストリングスが哀愁を漂わせる、好き者にはたまらんMarvin Gaye使い。美しく聴かせといて次がダーティーに今風な④。Brooklynを女性に比喩し人気者Lil Wayneが口説きまくるフックが面白い。最後にJayが2年以内にネッツをあげるよなんて言っちゃってます。この男ならホントに実現しちゃう気がする。Brooklyn Nets。そしたら絶対みんなまたバスケジャージとか着だすにちがいない。World Sports Plazaもそれまでがんばれ!!脱線したけど、そこから「フックなんかいらねぇ!」みたいな「そんなの関係ねぇ!」みたいな⑤これを音楽として捉えないでくれとまで言っちゃってるし。リアルに血と汗と涙ににじんだハードノックライフ。そして黒雲から突き抜けるかのように突入する人気曲⑥。勝者のうたですなーこれは嫌でも上がるっしょ。そして余裕の成功者のうた⑦。KE-KEing in the suiteでSweetだそうです。グルーヴィーなリフとパーカッションが大人です。そして盟友(いっぱいいるけど)Neptunesによる⑧。入りの長唄でも始まるかって和風なパーカッションからお得意のポコポコキラキラシンセで安心の佳曲。⑨はLittle Beaver使いでかなり大人なギターループに対してこれまた決して倍速にしない余裕のスローフロウをかましてます。みんながビックリした⑩はなんとなんと!Between The Sheets使い。確実にBlue Print2のときのAs One(EW&F/Fantasy使い)のときと同じノリな気がする。しかもproduced by Just Blaze。ビーニー兄貴!渋いっす!アルバム期待してるっす!!んでマンダムな⑪はTom Brock使い。そして!!個人的に激上がりしたのが⑫!!かつて壮絶なBEEFを展開した後和解、レーベルメイトとなったQueensの神童Nasを迎え、トラックはNO-ID!!!!!!うねりまくるオルガンぶっといベース、Rawなドラム。クラブユースとか関係なしに、まじめにしびれます。⑬はBilalの味わい深い歌声がナイスです。ここから先はボーナストラックとして2曲収録されているんですが、恐らくアルバムのコンセプトの沿っていなかったというとこでしょう。でも楽曲としてはかなりのもんです。てゆうか先行シングルだし⑬。Neptunesによるドープなトラックは中毒性抜群。Drop like it's hot路線で耳から抜けなくなります。Clubで爆音で聴きましょう。そしてラストチューン⑬。Just BlazeのCurtis Mayfield使いといったら、期待通りのTouch the sky〜Show me what u got路線でガッチシOKです。ネタモロ使いに生感溢れるドラム重ねはJustBlazeの最近のやり口の一つ。やっぱかっこいい。
すごいと思うのは最近完全なトレンドとなってる‘80年代フレイバーとか、サウス系のトラックなんかを完全に排除してる点。映画の舞台となった時代背景を演出するためだろうね。その時代の人物の名前が出てきたり、サンプリングしたりという部分で巧く自分色にして取り込んでる。最近目先しか見てない使い捨て曲とか使い捨てアルバムが多いけど、ホント次元がちがいますね。これがラッパーですよ。